4月に始まった米フィリピンの定例合同軍事演習「バリカタン」や、2日に米ハワイで開かれた日米豪比防衛相会談の時期と重なるように、南シナ海での中国からの圧力はさらに激化している。フィリピン側は「人命への脅威」にも言及して批判のトーンを上げており、防衛面で日米豪との連携をアピールして牽制(けんせい)を強めたい考えだ。
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2日の会談後、オースティン米国防長官は、南シナ海でフィリピン船の航行を妨害する中国の行為を「無責任な行動」だと非難した。フィリピンとの相互防衛条約に触れ、「条約へのコミットメントは鉄壁だ」と強調。フィリピンのテオドロ国防相も「二国間や多国間で、正当な強化策を進める」と語った。
共同会見で触れられた中国の妨害行為は、最近も繰り返されている。
フィリピン当局によると、4月30日、中国と領有権を争うスカボロー礁の近海で、漁船への補給に向かっていたフィリピン船2隻に中国海警局などの船10隻が接近し、放水銃の発射や衝突を繰り返した。2隻は金属部分が曲がるなど、船体の一部が損傷した。
中国の「海上民兵」が2倍近くに急増
放水はこれまでも繰り返され…